硫黄島からの手紙

倅が友達とブリーチをみるというので私もついでに何か観よっかな〜
同じ時間帯でやってたのがちょうどコレ、硫黄島
気にはなっていたけど、何か避けたい映画だった。私の持論で外国人では日本のもつ心は表現できないと思っている。どんなに日本びいきの人でも何年か日本で暮らした人でも・・・日本が外国ものを作れないのと同様、その逆も無理である。流れる血とか風土とか文化とかが違うので仕様がない・・・と思っていた。
前評判が高くアカデミー賞?とかの声もあがっている映画である。
監督:クリント・イーストウッド 製作:スティーブン・スピルバーグ

やはり、違うな・・・・というのが第一印象でした。
細かい所をあげればキリがないけどしっくりこない場面は割とあった。硫黄島の村落がまるで江戸時代のような家?時代劇にタイムスリップしたかと思った(汗)二宮くん扮する「西郷」の回想シーン、召集令状を受け取るところ何故か着物(浴衣?)姿。あの通りの童顔だからあんな着物を着てるとはな垂れ坊主みたいでとても子供がこれから生まれる立派な成人した男性に見えない。それにあのご時世であんな着物を来ている人はどんなドラマでも見た事ないよ〜。あと職業もパン屋さんってとこ‥まあ、別にいいけど‥‥
栗林中将のアメリカでの回想シーン、これも実にアメリカ的である。ハリウッドスターのケン・ワタナベが演っていると余計にそう思えて来る。だいたいケン・ワタナベにハリウッド映画を演らせると、栗林中将ではなくて『ラストサムライ』だー。確かに見栄えはいいし演技も英語もうまいしアメリカウケするだろうけど彼は(私の中では)ミスキャスト(注:でも私、渡辺謙好きなのよ独眼竜正宗)
父親たちの星条旗はみてないけどおそらくこちらの方がいいんだろうなと思う、、、。)
ケン・ワタナベは置いておいてその他のキャストはそれぞれ(日本映画のような)自分の演技ができていて良かったと思う。中村獅童、二宮くん、、、中でも加瀬亮さんが素晴らしい!ニノが騒がれているけど確かにニノも良かったけど(セリフが現代の若者チック)それ以上に加瀬さんの存在はズッシリ心に残るものだった。
実は星条旗が公開される前にNHKが特集を組んだドキュメンタリー番組をみた。硫黄島の生き残りの方の回顧録である。戦争が終わって何十年もたっているのに彼らはまだその呪縛から逃れられないでいる。苦しんで悪夢にうなされ続けている、、おそらく死ぬまで・・・。毎日毎日、仏壇にたくさんの水を供える、戦友たちは最後までこれを欲しがったと・・どうやって戦ったかどうやって死んで行ったか、目の当たりで見て来た人の言葉である。
重い・・・ずっしり・・重すぎる・・・
薄っぺらな映像にしてはいけないと思っていた。モノクロにして血飛沫だけ赤くしていたりしたけど、、実際はもっと過酷で悲惨なものだったに違いない(プライベートライアンの戦闘シーンの凄かったのを思い出した、あれを見て30分ほどの映像だったが筋肉が硬直して3時間位に感じたのを思い出した、スピルバーグが作ると戦争映画がこんなにもなるのかと驚いた‥今まで抱いていたハリウッドの戦争映画のイメージを根本から覆された作品だ)二万人もの日本兵が亡くなっているのだ!屈強な軍人ではなく一般の初老の方や少年兵も多かったと聞く。時代か時代なら倅も戦地に赴いてるかも。ゲームをしながらヘラヘラ笑っている場合ではない。自分と変わらない歳の子が地獄のようなところで短い一生を終えたのだ、今のこの平和な世があるのも先人たちの大きな犠牲の上に成り立っているという事を絶対に封印してはいけない。高校の世界史未修問題もあったがこういった歴史的事実は伝えていかなければ、ただ日本と日本人を守ろうと死んでいった方々に申し訳ない・・・内容はともかく(そういったが事実があったと言う事)映画を通して若者たちにメッセージをして残してくれたイーストウッド監督には感謝をしなくてはならないかも。館内には沢山の若い人がいた、、。みんな何を感じたのだろう・・
でもやはりNHKのドキュメンタリーの方を真摯にみてほしいな。
一応、双子の作品、星条旗の方もみてみます。
評価:★★★☆☆